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顧問税理士・会計事務所の先生へ

顧問先から承継の相談を受けたとき、電設業で先に確かめること


税務と会計は、これからも先生の仕事です。電設業の承継では、決算書と並べて、許可と資格者を会社が誰の名前で持っているかを確かめる必要があります。先生が見る点、先生の手元で分かる点、専門の仲介に渡す境目を、条文と公的資料の範囲で書きました。

最終更新:2026年10月14日 運営:松本電業株式会社(電設承継パートナーズ)

相談の入口は、先生のところにある

金融庁の企業アンケート(2026年1月調査、回答7,803社)で、事業承継・M&Aの相談先は、会計事務所・税理士法人が42.0%で最多でした。メインバンクが37.8%、自社の役員・社員が21.6%で、M&Aの専門業者(仲介・FA)は16.2%です。誰にも相談していない・できないも18.4%あります。この設問は、いま相談している先と、これから相談したい先の両方を含む複数回答です。

たとえば、第一種電気工事士が社長おひとりの電気工事会社で、決算の打ち合わせの最後に社長が言う。「来年で70だ。誰かに譲れないだろうか」。最初に聞く立場になるのは、数字のうえでも自然です。そしてこの会社には、決算書を眺めても出てこない確認事項があります。許可、資格者、メーカーの口座です。

社長ひとりの名前に許可と資格が載っている会社は、決算書が良くても、後任がいなければ、社長が退く日に基準を欠く。

当社がしないこと

当社は電設資材の商社が立ち上げたM&A仲介です。次の業務は、法律でそれぞれの資格者に認められたものなので、当社は行いません。

  • 税務代理、税務書類の作成、税務相談(税理士法2条・52条)。税額の試算、株式の税務上の評価、退職金の額の判断は、先生の仕事です
  • 報酬を得て行う法律事務(弁護士法72条)。契約書や保証・相続の法律上の判断は、弁護士の仕事です
  • 官公署に提出する書類の作成(行政書士法1条の3・19条)。建設業許可の承継認可や変更の申請書は、行政書士の仕事です
  • 登記の代理(司法書士法3条)

当社が担うのは、買い手を探し、秘密を守りながら条件を調整する部分です。簡易診断の金額は、当社の算定の考え方による目安で、税務上の評価ではありません。顧問業務を引き受けることもありません。顧問契約は、これまでどおり顧問先と先生のあいだのものです。

譲渡前に確かめる5点

顧問先との打ち合わせに使える1枚にまとめました。印刷すると、この表だけがA4で出ます。

電設承継パートナーズ(松本電業株式会社)|電設業の譲渡前に確かめる5点|2026年10月14日時点|条文は2026年10月14日に確認

確かめること 見る書類・先生の手元で分かること 理由と根拠
1経営業務の管理体制(経管) 要件を満たす常勤役員が社長ひとりか。補佐者を置く形か 許可通知書、役員の経歴、役員変更の届出控え 基準を欠くと2週間以内の届出が必要で、許可行政庁は許可を取り消さなければなりません(建設業法11条5項・29条1項1号)。要件は、常勤役員等の1人が満たす形のほか、補佐者を置く形があります(建設業法施行規則7条1号)
2営業所技術者(旧:専任技術者) 営業所ごとに誰か。社長と同じ人か。退職の予定はないか 資格者証、雇用の記録。在籍の確認には、給与台帳と社会保険の記録が使えます 代わりの人がいれば2週間以内に書類を出し、基準を欠くと同じく取消しの対象です(建設業法11条4項・5項、29条1項1号)。条文上の名称は2024年12月13日から「営業所技術者」です
3主任電気工事士 一般用電気工事を行う営業所ごとに選任されているか。社長本人が有資格者で自ら従事するために選任していない営業所はないか 電気工事業の登録(または届出)の控え、免状、実務経験の記録 社長が有資格者で自ら主に従事する営業所は選任が不要で、社長が抜けると選任が必要になります。欠けたときは、知った日から2週間以内の選任です(電気工事業法19条)。建設業許可を持つ「みなし登録」の会社にも同じ規定が適用されます(同法34条)
4経審と入札参加資格 経営事項審査を受けているか。公共と民間の比率、元請の比率はどうか 経審の結果通知、入札参加資格の通知、工事の売上の内訳 事業譲渡などでは、承継人が過去の監督処分や経審の結果も引き継ぎます(国土交通省 建設業許可事務ガイドライン)。経審の技術力の審査項目には「元請完成工事高」があります(埼玉県の制度解説)。入札参加資格の手続は発注者ごとに違うので、発注者に確認します
5メーカー・代理店の口座 特約店・代理店の契約はあるか。契約の承継、解除、株主の変更に関する条項はどうなっているか 契約書、仕入先別の買掛金の残高、仕入の上位先 株式譲渡では会社そのものは変わりませんが、契約書によっては、株主の変更に承諾を求める条項があります。条項の有無は契約書ごとに違うので、契約書で確かめます(一般論)

もう一つ、先生の手元で確かめられることがあります。2020年10月以降、健康保険・厚生年金保険・雇用保険の適用事業所としての届出を、全営業所で済ませていることが、建設業許可の基準に入っています(建設業法施行規則7条2号)。労働者ごとの加入までは基準にしていません。株式譲渡のあとに前社長が退任する場合は、経管の後任は2週間以内に書類を出せる体制(施行規則7条の2第2項)、営業所技術者の後任は同じく2週間以内の書類(建設業法11条4項)を、先に整えておく必要があります。個別の可否は、行政書士と許可行政庁の窓口で確認してください。

許可と登録は、売り方で残り方が変わる

株式譲渡では、許可を持つ法人が変わらないので、承継の認可は要りません。これは法令の構造からの整理で、国土交通省が株式譲渡に言及した文書は確認できていません。事業譲渡・合併・会社分割は、事前に認可を受ければ譲受人が建設業者の地位を引き継ぎ、許可の空白は生じません(建設業法17条の2)。一方、廃業届を出すと許可は消えます。

方法ごとの違いは、許可・登録の承継早見表に印刷用の1枚でまとめました。廃業を選ぶ顧問先には、廃業届を出す前に確かめることも渡せます。

税は先生の領域。電設業の社長の場合に論点になる点

税額の判断は先生のものです。ここでは、電設業の社長の手取りに関わる論点を、出典つきで並べるにとどめます。

  • 株式の譲渡益は申告分離課税で、現行は所得税15%・住民税5%に、復興特別所得税(所得税額の2.1%)を加えた20.315%です。2027年1月以降は復興特別所得税が1.1%に下がり、防衛特別所得税が併せて課されますが、国税庁は合計の税率に変更はないと説明しています(国税庁 No.1463、No.1000、No.1420)
  • 役員退職金は、相当な金額が損金になります。分掌変更でも、常勤から非常勤になる、給与がおおむね50%以上減るなど、実質的に退職したのと同様の事情があれば退職金として扱えます(国税庁 No.5203)。退職所得は(収入金額−退職所得控除額)×1/2ですが、役員等としての勤続年数が5年以下の特定役員退職手当等には、この1/2がありません(国税庁 No.1420)
  • 出資の時期が古く、取得費が分からないことがあります。その場合は譲渡収入の5%を概算取得費にでき、実額との併用はできません。相続・贈与で取得した株式は、取得費を引き継ぎます(国税庁)
  • 法人版の事業承継税制は、第三者への株式の売却には使えません。特例承継計画の提出期限は2027年9月30日です(中小企業庁)
  • 経営者保証は、事業承継時の特則で、前経営者と後継者の双方から二重に保証を求めないことが原則です(経営者保証に関するガイドライン)。金融庁の2025年度の集計では、代表者交代時に旧経営者の保証を解除し、新経営者とも結ばなかったのは16.7%、旧経営者を解除せず新経営者とも結ばなかったのが39.7%でした。M&Aに限らない代表者交代全体の数字です

手取りの計算例は1億円で売れたときの手取りに載せています。個別の税額は、株主の構成や取得費の経緯で変わります。

決算書は、電設業のクセを知って読む

電気工事店の資金繰りは、元請からの入金と、電材などの仕入先への支払いの時間差に左右されます。完成工事未収入金と買掛金は、同じ工事の表と裏にあたります。次の表は、先生がすでに見ている科目のうち、電設業で買い手が最初に聞く点です。

見るところ 電設業での見方
完成工事未収入金 元請別の残高と、滞留している期間。下請中心の会社では、主な元請の入金サイクルがそのまま資金繰りになります
未成工事支出金・未成工事受入金 決算日に未完成の工事の原価と、前受金。工事ごとの進み具合と原価の裏づけ、赤字の見込みの工事に対する工事損失引当金の有無を見ます。建設業の財務諸表には、これらの専用の科目があります(国土交通省)
在庫(材料・商品) 電線は銅建値の影響を受けます。銅建値の年度平均は、2019年度の1トンあたり68万1,600円から、2025年度の169万5,400円へ、約2.5倍になりました(日本電線工業会)。長く持つ電線の在庫は、帳簿の金額と市場の値が離れることがあります。廃番品・長期滞留品も別に見ます
仕掛品(盤・計装) 受注ごとに原価が積み上がり、納品後の検収と入金で閉じます。受注ごとの原価の裏づけと、検収待ちの案件を確かめます
元請比率と下請の構造 主な元請1〜2社への依存度は、買い手が最初に聞く点です。経審の技術力の項目にも元請完成工事高があります。下請に出す側の会社では、特定建設業が必要になる下請総額の基準が5,000万円(建築一式は8,000万円)に引き上げられています(2025年2月1日から)
役員報酬の引き直し 当社の簡易診断は、営業利益に、退任予定の役員報酬と節税目的の費用を足し戻した金額を使います。これは当社の算定の考え方で、外部の相場ではありません。足し戻したあとで、社長の仕事を担う人にいくら払うかは会社ごとに違い、先生の見立てが効く点です

相場の目安として、中小企業庁の登録制度の集計(2024年度の株式譲渡)では、EV/EBITDA倍率の中央値が設備工事業で6.7倍(111件、真ん中の半分は3.3倍から12.1倍)、機械器具卸売業で6.8倍(38件、3.7倍から14.1倍)でした。ばらつきが大きく、件数にも限りがあるので、顧問先の値を決める数字ではありません。読み方は電気工事会社・電材卸の売却相場に書きました。

先生がやること、専門の仲介に渡すところ

場面 先生 当社(仲介) ほかの資格者
社長の意向の整理
売る・親族や社員に継ぐ・たたむ・現状維持
決算、資産、保証、家族の事情を踏まえて整理する 売らない道も同じ重さで説明する。売ると決まっていなくても相談できる 相続の準備は弁護士・司法書士
数字の把握と税の試算 決算書の読み、税額の試算、退職金の設計 簡易診断の目安を出す(税務上の評価ではない) 特になし
許可・資格者の棚卸し 上の5点で気づき、行政書士へつなぐ 買い手が何を確かめるかを説明する 許可の確認と申請書は行政書士
買い手探し、秘密保持、条件の調整 社長の希望を当社に伝える(顧問先の同意のもと) ここからが当社の仕事 特になし
契約書、保証、相続の法律問題 論点の洗い出しに立ち会う 法律上の判断はしない 弁護士
承継認可、届出、登記 特になし 手続の時期と順番を説明する 行政書士・司法書士
申告 会社と社長個人の申告 特になし 特になし

渡す目安は、社長が「買い手を探したい」「相手の名前を聞きたい」と言った時点です。それまでの整理は、先生と顧問先のあいだで進められます。

紹介の型は3つ

  1. 顧問先の同意を得た紹介。顧問先が当社と会うと決めたら、先生から当社へ連絡します。社名と連絡先は、同意のあとにお知らせください
  2. 社名なしの事前相談。業種、地域、規模、困りごとだけで相談できます。先生のお名前も、返信を受け取れる呼び名で構いません。入口は税理士・士業の先生向けの相談窓口です
  3. 共同面談。先生が同席し、顧問先と当社が会います。税務・会計の質問には先生が答え、当社は買い手側の見方を説明します

税理士には、業務で知り得た秘密を正当な理由なく他に漏らしてはならない義務があります(税理士法38条)。

顧問先の社名は、同意を得てから伝える。

同意の前に社名を出す必要はありません。業種、地域、規模、困りごとだけで、社名なしの事前相談から始められます。

ご紹介の条件

ご紹介の条件は、現時点では公開していません。このページには、金額も率も書いていません。顧問先が当社に支払う手数料は、手数料のページに、売り手・買い手の双方の金額を全額公開しています。

当社の立場

松本電業は1950年創業、東京都台東区の電設資材の商社です。工事店や盤メーカーに資材を納める側にいるので、電設業の会社が、少ない人数の許可と資格で回っていること、元請の入金と仕入の支払いの時間差に資金繰りが左右されることは、仕事の構造として知っています。個別の会社の事情を知っているという意味ではありません。

M&A支援機関登録制度への登録は、現時点で完了していません。登録状況は手数料のページに載せ、変わったら更新します。補助金で仲介手数料が補助対象になるのは登録業者への支払いだけなので、顧問先に補助金の話をするときは、登録の有無を先に確かめてください。

当社は電設資材の商社なので、売り手や買い手が本業の取引先であることがあります。当社自身が買い手の候補になりうる場面も含めて、利益相反管理方針に先に書きました。中小企業庁の「中小M&Aガイドライン(第3版)」への対応は、遵守の内容として具体的に開示しています。

顧問先に渡せる資料

顧問先の選べる道は、売るだけではない

親族や社員に継ぐ、たたむ、いまのまま続ける。どれも、顧問先にとって同じ重さの選択肢です。売る以外の道は廃業以外の道に、借入が残っている場合は借金があっても売れるかにまとめています。売る場合の流れと期間は進め方のページにあります。

よくある質問

顧問先の会社を紹介したら、顧問契約はどうなりますか。
顧問契約は顧問先と先生の契約で、当社が関わることはありません。当社は税理士業務を行えないので、顧問業務を引き受けることもありません。ただ、会社が売れたあとに買い手が自社の顧問税理士を使うかどうかは、買い手と会社が決めることで、紹介の時点では約束できません。紹介の前に、顧問先とこの点をお話しになることをお勧めします。
紹介料はいくらですか。相場はありますか。
ご紹介の条件は、現時点では公開していません。このページでは金額も率も示していません。紹介料の相場として示せる公的な統計は、当社では確認できていません。顧問先が当社に支払う成功報酬は、手数料のページに売り手・買い手とも全額を公開しています。
社名を出さずに相談できますか。
できます。業種、地域、従業員の規模、困りごとだけで構いません。社名や所在地が分かる情報は書かないでください。先生のお名前も、返信を受け取れる呼び名で構いません。顧問先の同意が取れてから、社名をお知らせください。
税理士が自分でM&Aの仲介や助言を担う道もありますか。
あります。中小企業庁のM&A支援機関登録制度では、登録された仲介・FA業者3,362件のうち、種類別の「税理士」が498件です(2026年9月24日時点)。先生ご自身が担う場合も、買い手の探索だけを当社と分担する形を、ご相談いただけます。
顧問先は補助金を使えますか。
事業承継・M&A補助金の専門家活用枠で、仲介・FAの手数料が補助対象になるのは、M&A支援機関登録制度に登録された事業者への支払いだけです。当社は現時点で登録が完了していないため、当社の手数料は補助の対象になりません。16次公募の申請受付は2026年10月2日から11月6日17時です。顧問先が補助金を使う場合は、登録の有無を確認してから依頼先を選んでください。

出典

顧問先の状況を、社名なしで相談する

業種、地域、規模、困りごとだけで構いません。社名は、顧問先の同意が取れてからお知らせください。相談したからといって、紹介を前提にする必要はありません。

お急ぎの場合は電話 03-3833-6431(平日 9:00〜18:00)

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