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消防設備工事・点検のM&A・事業承継

消防設備会社のM&A・売却・事業承継

消防設備の会社が見られるのは、点検先の数と、免状を持つ人です。点検は消防法で義務づけられていますが、義務を負うのは建物の関係者で、どの会社に頼むかまでは決まっていません。契約が続く理由を、台帳と担当者の側から確かめます。

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消防設備業界の現在地


数字はすべて官公庁・業界団体の一次資料から引用し、出典と年次を明記しています。 他社の記事に流通している出典不明の数値は使いません。

16,075業者 建設業許可(消防施設工事業)の業者数。許可業者全体(483,823業者)の3.3%が取得していて、取得業者が少ない業種の3位 出典: 国土交通省「建設業許可業者数調査の結果について(令和8年3月末現在)」 (2026年3月末)
+7.7% 平成25年3月末の14,925業者(底)から令和8年3月末の16,075業者への増加率。平成12年(16,013業者)との比較では+0.4%で、同じ期間に建設業許可業者の総数は19.5%減った。数えているのは許可の数で、会社の数ではない(複数の許可を持つ会社がある) 出典: 同調査 表-3(当社計算:16,075÷14,925) (2013年→2026年)
137万6,123人 消防設備士の数(延べ)。消防設備点検資格者は、特種831人、第1種(機械系統)17万6,341人、第2種(電気系統)16万5,573人 出典: 総務省消防庁『令和7年版 消防白書』 (2025年3月31日現在)
6か月/1年 消防用設備等の多くは、機器点検が6か月に1回、総合点検が年に1回(設備ごとの期間は告示の表による)。結果の消防署への報告は、特定防火対象物が年1回、それ以外が3年に1回 出典: 消防庁告示(平成16年第9号)、消防法施行規則31条の6 (現行)
57.3% 建設業の後継者不在率(全業種で最高。全業種は50.1%) 出典: 帝国データバンク「全国『後継者不在率』動向調査(2025年)」 (2025年)
承継の実務

消防設備の承継で、実際につまずくところ。


許認可と有資格者の整理は、譲渡が成立するかどうかそのものを左右します。 ここを後回しにすると、条件が固まってから話が振り出しに戻ります。

01

免状の写しと、オンライン講習の修了証を照合する

消防試験研究センターのFAQ Q28は、オンライン講習の免状への記載を受講先の講習機関へ確認するよう案内しています。新規交付・写真書換え・再交付では修了証等によって受講状況を転記しますが、氏名・本籍・生年月日のみの書換えでは転記できません。免状の写しだけで未受講と決めず、修了を示す資料を本人と確認します。

私たちの進め方

当社の整理案は、講習区分ごとに修了証等の所在、確認日、次回の申込・受講期限、現場の代行担当を対応させる方法です。確認待ちは未受講とも修了済みとも決めず、講習機関への照会担当を残します。消防設備点検資格者の再講習は別制度で、延長が承認された場合には承認期限を確認します。

02

消防設備士の免状は人に付く。会社が変わっても、人が辞めれば仕事が止まる

消防設備士免状を持たない人は、政令で定める設備の設置工事と整備を行えません(消防法17条の5)。免状は個人に交付されるので、会社を譲渡しても、免状を持つ人が退職すれば、その類の工事と整備は請けられなくなります。甲種の保有者が代表者1人だけの会社では、代表が退くと工事が止まります。

私たちの進め方

甲種・乙種の別、類、年齢、次回の講習期限を、人ごとの一覧にします。代表1人の場合は、譲渡後に残る期間を条件に入れるか、社内の人が免状を取る期間を承継の日程に入れます。

03

消防設備士は、建設業許可の技術者の要件にも使われている

500万円以上の工事を請けるには、消防施設工事業の建設業許可が要り、営業所ごとに営業所技術者(旧:専任技術者)を置きます。建設業法施行規則7条の3は、その営業所技術者として認められる者に、甲種または乙種の消防設備士免状の交付を受けた者を挙げています。同じ人が工事の資格と許可の技術者要件を兼ねている会社では、その人が辞めると両方が一度に欠けます。技術者が代わるときは2週間以内の届出です。あわせて、経営業務の管理体制の要件もあります。常勤役員等の1人が満たす形のほか、補佐者を置く形もあります。

私たちの進め方

営業所技術者と常勤役員等を担っている人が、代表者以外にいるかを最初に確認します。点検が中心で工事の売上が小さい会社は、500万円以上の工事をどれだけ請けているかを見て、許可の要否から整理し直します。許可の全体像と、技術者が退職したときの手続きは、専用の記事にまとめています。

04

点検の質は資格にも響く。過去の指摘と報告の整理

消防設備点検資格者は、点検を適正に行っていないことが判明したときなどに、資格を失います(消防法施行規則31条の6第8項)。点検結果の報告は建物の関係者の義務ですが、契約によっては、報告書の作成や提出まで請けています。過去に指摘を放置した建物や、期限を過ぎた報告があると、どこまでが点検会社の役割だったかの線引きが、譲渡後の取引先との関係に響きます。

私たちの進め方

直近の点検報告の履行状況と、未処理の指摘を、建物ごとに確認します。買い手の調査で指摘されてから説明するより、先に一覧にして対応案を添えるほうが、話が早く進みます。

ここまで読んで「うちはどうだろう」と思われたら、 そこがご相談のタイミングです。

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評価される点

決算書に出ない、消防設備の値打ち。


点検契約の数と、資格者が必須の建物の割合

消防法17条の3の3は、防火対象物の関係者に、消防用設備等の定期点検と消防署への報告を義務づけています。ただし消防設備士か点検資格者に点検させなければならないのは、政令で定める建物です。たとえば、劇場、飲食店、物販店、病院、ホテルなどで延べ面積1,000㎡以上のもの、避難階段が足りない建物などがこれに当たります(同法施行令36条2項)。それ以外の建物の関係者は、自分で点検してもかまいません。契約を、資格者が必須の建物とそうでない建物に分けて数えます。

買い手がここを見る理由

資格者が必須の建物は、建物側が自分で点検に戻ることができず、頼める相手は有資格者を抱える会社に限られます。その分、契約は切れにくいと買い手は見ます。自分で点検できる小さな建物の契約は、価格で動きやすい契約です。法律が義務づけているのは点検であって、御社に頼むことではありません。この区別が、点検の売上を評価する出発点になります。

消防設備士の類と人数、講習の期限

甲種は工事と整備、乙種は整備だけを行えます。さらに類があり、屋内消火栓とスプリンクラーは第1類、自動火災報知設備は第4類、消火器は乙種の第6類です(消防法施行規則33条の3)。免状は取った後も講習が続きます。免状交付日以後の最初の4月1日から2年以内、その後は5年以内ごとに受講します。点検資格者も、期間ごとの講習を修了しないと資格を失います。

買い手がここを見る理由

どの類を何人が持っているかで、請けられる設備の範囲が決まります。名簿には、類と年齢に加えて、次の講習の期限日も載せてください。点検資格者は期限を過ぎると資格を失うので、期限が管理されているかどうかは、人の抜け落ちを防げる会社かどうかの目安になります。

点検先台帳と、報告期限の管理

建物ごとの設備構成、設置年、更新履歴、指摘事項、次回の点検時期、報告の期限(特定防火対象物は1年、それ以外は3年)が、一覧で出せるか。建物の側には、点検結果を維持台帳に記録する義務があり(消防法施行規則31条の6第3項)、点検会社の台帳は、それと突き合わせて使われます。

買い手がここを見る理由

報告義務を負う建物の関係者と、点検会社が契約上担う仕事を分けて確認します。当社の整理案として、報告の予定日、資料の所在、確認する担当と代行者を台帳へ残します。台帳があるだけで契約の継続を保証するものではなく、引継ぎ後に誰がどの作業を担えるかを確かめる資料です。

点検から改修・更新への転換率

点検で不備を見つけたとき、その改修を自社で請けているか。特定防火対象物では、設置が必要な数に対するスプリンクラー設備の設置率が99.9%、自動火災報知設備が99.7%です(消防庁、2025年3月31日現在)。設置が必要な建物には、ほぼ付いている状態です。そのため新設の余地は小さく、既設の改修と更新が仕事の中心になるとみられます(当社の推測)。

買い手がここを見る理由

工事には甲種の免状が要り、着手の10日前までに甲種消防設備士が消防署へ着工届を出します(消防法17条の14)。甲種の人数だけから受注力を算出せず、対応できる類、本人の勤務予定、現場の体制を確認することを提案します。点検後の改修についても、提案、受注、完了を分けた記録から、収益の構成を確認します。

買い手

消防設備を、誰が買うのか。


売り手の方が最初に知りたいのは価格ではなく、「本当に相手がいるのか」です。 この業種の買い手になりうる会社を、類型ごとに整理しました。

同業の消防設備会社(点検先の面的拡大)

点検は建物に出向く仕事なので、移動時間が原価に効きます。商圏が隣り合う会社同士なら、点検先を面でつなぎ、移動の無駄を減らせます。免状を持つ人を増やしたい会社にとっては、人ごと買う手段にもなります。

電気工事・設備工事会社(守備範囲の拡張)

自動火災報知設備の設置工事のうち、電源の部分は消防設備士の独占から外れています(消防法施行令36条の2)。電気工事会社は、その部分を電気工事として請けられます。電源以外の部分には甲種第4類の免状が要ります。また電気工事士は、消防設備点検資格者の講習を受けられる資格に入っています(消防法施行規則31条の6第7項)。電気から消防へ広げる道のひとつが、免状を持つ人を抱える会社を取り込むことです。

ビルメンテナンス・設備管理会社(点検の内製化)

建物管理を包括で請けるうえで、消防点検を自社で持つ狙いです。毎月、建物に出入りしている会社が、点検の契約を持てば、同じ訪問で複数の仕事を回せます。

公表されている買収事例
  • ハリマビステム(ビルメンテナンス、東証スタンダード)は2025年7月16日、武蔵野通信(東京都八王子市。セキュリティーシステム工事、省エネ・節電対策工事、消防施設工事、LED事業)の全株式を取得し、子会社化することを決議した。取得価額は非公表。 出典

※ 公表情報をもとにした業界動向の紹介であり、いずれも当社が関与した案件ではありません。

親族・社内への承継(売らない選択肢)

免状を持つ社員への承継や、親族への承継は、買い手を探す前に比べておく選択肢です。2025年に代表者が交代した企業の承継手段は、全業種の速報値で内部昇格36.1%、同族承継32.3%、M&Aなど20.6%、外部招聘7.6%でした(帝国データバンク)。社内で続ける場合も、甲種の保有者と営業所技術者の後任は、同じ課題として残ります。

進め方

最初の一歩は、匿名の相談で結構です。


  1. 1

    匿名でご相談

    社名の入力は任意です。売却をお決めでない段階のご相談を歓迎します。相談に費用はかかりません。

  2. 2

    許認可と有資格者の棚卸し

    消防設備工事・点検の承継で最初に確認すべき許認可・資格の状況を整理します。ここに問題があると後の工程がすべて崩れるため、最優先で行います。

  3. 3

    企業価値の整理と資料づくり

    決算書に出ない価値を、買い手に伝わる形の資料に整えます。ここが評価額を最も大きく動かします。

  4. 4

    買い手候補の選定と打診

    打診してほしくない先を最初に伺い、候補から外します。秘密保持契約を結ぶまで、社名や所在地は買い手候補に伝えません。

  5. 5

    条件交渉・最終契約・引き継ぎ

    価格だけでなく、従業員の雇用、代表者保証の解除、引き継ぎ期間まで含めて条件を設計します。

消防設備業界の主な団体

一般財団法人 日本消防設備安全センター
消防設備点検資格者の講習などを実施する登録講習機関
一般財団法人 消防試験研究センター
消防設備士試験の受験案内・試験日程を案内
よくあるご質問

消防設備の承継について、よくいただく質問。


点検が中心で、工事はあまりやっていません。売れますか。
売れます。点検の契約は、毎年同じ時期に同じ建物へ行く理由になるので、買い手は将来の売上を読めます。ただし契約の質は件数だけでは決まりません。資格者が必須の建物が何件か、台帳で期限を管理できているか、点検から改修につながった割合はどうか。この3つを整理しておくと、点検中心の会社でも正当に評価されます。
消防設備士が社長1人です。退職したらどうなりますか。
免状は個人に交付されるので、免状を持つ人が抜けると、その類の工事と整備は止まります。買い手が気にするのはそこです。打つ手は2つで、譲渡後に社長が一定期間残る条件を設計するか、社内の人に免状を取ってもらうかです。免状は試験に合格すれば取れますが、一人前に育てるには時間がかかります。売ると決める前から動くほど、選べる手が増えます。
点検は法律で義務なのに、契約が切れることはありますか。
あります。法律が義務づけているのは、建物の関係者に点検をさせることで、特定の会社に頼むことまでは定めていません。資格者が要る建物でも、別の資格者を抱える会社に替えることはできます。小さな建物では、関係者が自分で点検してもかまいません。契約が続く理由を、台帳の精度と担当者の対応から説明できるかが、評価の分かれ目になります。
点検先の名簿は出したくないのですが。
一般にM&Aの初期段階で、点検先の名称までは求められません。件数、用途別の内訳、年間の点検料の合計、契約年数の分布のように、個々の建物が特定されない形で足ります。名称を含む詳細は、秘密保持契約を結んだあとに、買い手候補から求められるのが通常です。それまでに、台帳を一覧で出せる状態にしておくと、話が早く進みます。
電気工事会社が消防設備の点検を始めるには、何が要りますか。
電気工事士は、消防設備点検資格者の講習を受けられる資格のひとつです(消防法施行規則31条の6第7項)。講習を修了して免状を受ければ、点検資格者になれます。ただし自動火災報知設備などの設置工事は電源の部分を除いて甲種、整備は甲種または乙種の消防設備士免状が要ります(消防法17条の5、17条の6)。工事まで広げるなら、甲種の免状を持つ人の確保が先です。
商流でつながる業種

川上と川下も、まとめて見ています。


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売却をお決めでない段階で結構です。
「うちはいくらぐらいなのか」だけでも、お答えできます。

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