会社をたたむ費用と、売った場合の手取りを比べる
廃業は、お金と時間を出して会社を閉じる手続きです。費用は会社ごとに違うので、相場の金額は書きません。そのかわり、自社の数字を入れて、廃業と譲渡で手元に残る額の目安を並べられる計算機を置きました。入力した数字は、このページの外へ送信されません。
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黒字のまま廃業する会社は、およそ半数にのぼります
廃業というと、赤字で行き詰まった会社を思い浮かべがちです。数字は少し違います。 2025年に休廃業・解散した企業のうち、直前の決算が黒字だった会社は、帝国データバンクの集計で49.1%、 東京商工リサーチの集計で52.8%でした。どちらも全業種の数字で、黒字は営業利益ではなく最終利益(当期純損益)の黒字です。 二社の数字が一致しないのは数え方が違うためで、どちらかが誤りという話ではありません。 帝国データバンクは、休廃業・解散の件数に個人事業主を含め、直前期の決算で黒字かどうかを見ています。 東京商工リサーチは、決算が判明した企業を対象に、休廃業・解散から最大2年さかのぼって最新の決算を採っています。
帝国データバンクは、黒字の割合が5割を下回ったのは、さかのぼれる2016年以降で初めてだったと伝えています。 閉じるときの経営者の平均年齢は、帝国データバンクの集計で71.5歳(最も多い年齢は76歳)、 東京商工リサーチの集計で74.9歳でした。 建設業は休廃業・解散の件数が業種別で最も多く、帝国データバンクの集計で8,217件です。
電気工事業だけを取り出した休廃業の数字は、公開資料で確認できていません。ここまでの数字は、すべて全業種か建設業全体のものです。
廃業の費用は、帳簿に出ない所から出ていきます
相場の金額は書きません。公的な統計で確認できていないうえ、在庫・車両・賃借の条件で、会社ごとに桁が変わるからです。 費用が出る場所は、次のとおりです。
- 在庫・資材・仮設材・工具の処分。帳簿の値段では売れないものが多く、産業廃棄物として費用を払って捨てるものも出ます
- 賃借している事務所・倉庫の原状回復と、車両・機械の売却損
- 従業員への解雇の予告。解雇の30日前までに予告するか、30日分以上の平均賃金を払います(労働基準法第20条)。 退職金の規程があれば、その支払いも加わります
- 途中で止められない仕掛かり工事の後始末。誰かに引き継ぐか、赤字で終わらせるかになります
- 会社の解散と清算。解散の登記は2週間以内(会社法第926条)。清算では、債権者に申し出を促す官報公告が要り、 その期間は2か月を下回れません(同法第499条)
- 許可と登録の届出。建設業許可の廃業届は30日以内で、法人が解散した場合に届け出るのは清算人です(建設業法第12条)。 登録電気工事業者の廃止も30日以内の届出です(電気工事業法第11条)。建設業許可があるみなし登録の会社は、廃止の届出の期限が「遅滞なく」です(同法第34条第4項)
- 借入の返済。返しきれない分は、個人保証を通じて社長個人に残ります
官報公告の期間が2か月を下回れない、という一点だけでも、廃業が決めた日に終わらないことが分かります。 届出の手順は建設業許可の廃業届・電気工事業の廃止届を出す前にに書きました。
廃業の判断が遅れると、廃業の費用すら出せなくなることがある。国のガイドラインに、そう書いてあります。
中小企業庁の中小M&Aガイドライン(第3版)は、決断が遅れるほど選択肢は狭まり、業績が良くない場合は資金繰りが尽きて身動きが取れなくなる、 実際に廃業費用すら捻出できない状況に陥るケースもある、と述べています(本文30〜31ページ)。 閉じるにも元手が要る、ということです。
電設の会社は、廃業で許可と口座と人を同時に失います
建設業許可は、廃業届を出すと、更新の満了日を待たずに取り消されます(東京都の案内、2026年9月30日更新)。 電材の仕入口座は、会社と会社の契約です。会社が消えれば、そこで終わります。 電材卸の側から見ると、新しく立ち上げた会社が同じ条件の口座を開くには、一から取引を始めることになります。 有資格者は、廃業と同時に勤め先を失います。
| 会社にあるもの | 廃業を選ぶと | 譲渡が成立すると |
|---|---|---|
| 建設業許可・電気工事業の登録 | 廃業届で取り消される。電気工事業の登録も廃止の届出が要る | 株式譲渡なら許可を持つ法人は変わらず、役員が替わればその変更を30日以内に届け出る。事業譲渡は、建設業の全部を譲り、あらかじめ認可を受ければ地位を承継できる |
| 有資格者・職人 | 解雇の予告か、30日分以上の平均賃金が要る | 株式譲渡なら雇い主の会社は変わらない。条件は最終契約で決める |
| 得意先・仕入口座 | 会社と会社の契約なので、会社とともに終わる | 会社が続くので、取引も続けられる可能性がある |
| 在庫・車両・工具 | 処分損や処分費が出るものがある | 事業の一部として評価される |
| お金の流れ | 費用が先に出ていく | 譲渡代金を受け取る側になるが、成功報酬と税が引かれる |
譲渡の列は、買い手が現れて条件が合った場合の話です。廃業の列は、前提なしにそうなります。 株式譲渡の扱いは条文の構造からの整理で、国土交通省が株式譲渡に直接触れた文書は確認できていません。 許可の扱いの根拠は許可・登録の承継にまとめました。
国のガイドラインは、廃業を考える小規模な会社にも、M&Aの検討が望まれるとしています
中小M&Aガイドラインは、近い将来に廃業を考えている小規模な事業者でも、廃業以外の選択肢が現実にあり得ると認識したうえで、 M&Aのプラットフォームの活用を積極的に検討することが望まれる、としています(58ページ)。 債務超過の会社についても、帳簿の純資産では債務超過でも、時価で見直すと資産超過になる場合があり、 債務超過だから廃業しか道がないとは限らないと述べます(120ページ)。 黒字の部門だけを譲って、譲渡代金を廃業費用に充てる方法も挙げています(128ページ)。
公的な窓口の実績も出ています。事業承継・引継ぎ支援センターの令和7年度の第三者承継(M&A)の成約は2,265件で、過去最多でした。 成約した譲渡企業のうち、売上1億円以下は68.5%(当社の合算)です。 譲渡は大きな会社だけの話ではありません。
事業承継・M&A補助金には、廃業費を併用できる区分もあります。16次公募の小規模売り手支援類型は、補助率が3分の2以内で、上限450万円に、廃業費の併用で150万円が加わります。 廃業費が対象になるのは、M&Aに伴って事業所や事業を廃止する場合で、M&Aが実現しなかったときは対象外です(公募要領)。廃業だけを選ぶ場合には使えません。 申請の受付は2026年11月6日の17時までです。補助の対象になるのは登録済みの支援機関への手数料で、当社はまだ登録していないため、当社の手数料は対象になりません。 要件は補助金のページで確かめてください。
自社の数字で、廃業と譲渡を並べて比べる
決算書の数字を概算で入れると、廃業した場合と、譲渡できた場合に手元へ残る額の目安が並びます。 廃業の費用だけは、こちらで金額を示せないので、顧問税理士などに頼んだ見積もりを入れてください。 入力した数字は、お使いのブラウザの中だけで計算され、送信も保存もされません。
廃業と譲渡の比較(目安)
廃業した場合
譲渡できた場合
計算の前提:譲渡価額は、当社の企業価値診断と同じ年買法(純資産+実質営業利益×年数)で、基準の3年に±0.5年の幅を持たせています。 実質営業利益は、営業利益に退任後は不要になる役員報酬を足した額です。業種ごとの評価で、年数は1.5〜5年の範囲で動きます。 成功報酬は、当社の最低300万円とレーマン方式(手数料のページ)。税は、株式の譲渡所得にかかる20.315%(国税庁 No.1463)です。 廃業側には、清算で出る法人の税、株主への分配にかかる税、資産の処分価格のぶれは含まれていません。 実際の金額は買い手によって大きく変わります。個別の税額や可否は、顧問税理士などの専門家に確認してください。
それでも、廃業のほうが残ることはあります
次のような会社では、廃業のほうが理にかなっていることがあります。
- 清算して手元に残る額が、譲渡で得られる額を上回る会社。不動産が厚く、事業の利益が薄い会社で起こります
- 従業員の行き先がすでに決まっていて、取引先にも代わりの施工先がある会社
- 事業が社長個人の技能と人脈に完全に依存していて、渡しても続かない会社
このページの結論は「売るべきだ」ではありません。比べる前に決めた廃業と、比べたうえで選んだ廃業は、同じ廃業でも中身が違います。 比べた記録は、従業員や家族に説明するときの材料にもなります。 廃業を含む選択肢の全体は、この会社に残された道は、いくつあると思いますかで、例題の会社を使って数えています。 買い手がどんな会社かはこの会社を欲しがる会社は、いると思いますか、 譲渡代金から手元に残る額の計算は1億円で売れました。手元にいくら残りますかに書きました。
名前を出さずに聞くことも、相談することもできます
比べ方が分からない段階でも構いません。売り手の方からいただく費用は、成約したときの成功報酬のみです。 相談料・着手金・中間金・月額報酬はいただきません。 金額の決まり方は手数料のページに全部書いてあります。
- 匿名の質問箱:名前も連絡先も出さずに、1問だけ聞けます
- 企業価値診断:譲渡の目安を、業種ごとの項目まで入れて出せます。入力内容は送信されません
- 承継準備チェックリスト:許可や個人保証の状態を確認できます。印刷してそのまま使えます
- 許可・登録の承継:経営業務の管理責任者、営業所技術者、主任電気工事士が抜けるときの扱い
- 状況から読むページを選ぶ:社長が倒れた、営業を受けた、他社と進行中など
- 相談する:廃業のほうが合理的だと分かれば、そう伝えます
このページの数字と条文の出典
- 帝国データバンク「全国企業『休廃業・解散』動向調査(2025年)」2026年1月9日:tdb.co.jp
- 東京商工リサーチ「2025年 休廃業・解散企業」動向調査(2026年1月発表):tsr-net.co.jp
- 中小企業庁「中小M&Aガイドライン(第3版)」(本文30・31・58・120・128ページ):meti.go.jp
- 中小機構「令和7年度 事業承継・引継ぎ支援センターの実績について」2026年5月29日:smrj.go.jp
- 東京都都市整備局「廃業届の提出があった建設業許可業者に係る許可の取消しについて」:toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp
- e-Gov法令検索:労働基準法、会社法、建設業法、電気工事業法
- 国税庁 タックスアンサー No.1463 株式等を譲渡したとき
- 事業承継・M&A補助金事務局(16次公募):shoukei-mahojokin.go.jp