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公開: 最終更新: 電材卸・電設資材商社

手形廃止・でんさい移行で電材卸の資金繰りはどう変わる?承継前に合わせたい入金日と支払日

この記事にはモデルケースが含まれます

記事中のモデルケースは、理解を助けるための架空の例です。 当社の成約実績ではありません。

仕入先から支払方法変更の案内が届く。銀行から手形の取扱終了の案内も届く。経理担当者が切替えを進める横で、社長は会社の承継を考えている。こうした場面では、電子化の申込みと同時に、会社のお金が動く日を確かめておきたいところです。

メーカーや商社から仕入れ、工事店などへ販売している電材卸では、支払と入金の両方を予定表に載せて考えます。仮に、支払が先に早まり、入金は従来どおりという条件なら、その間をつなぐ資金が必要になる可能性があります。両方が同じ日に、同じ条件へ変わると見込まず、得意先と仕入先それぞれに確認しましょう。

この記事は2026年10月19日時点の案内を基に、電子化と承継を並行して準備するための考え方を整理します。

「2027年3月末」だけを予定表に書かない

金融庁の案内によると、銀行界は2026年度末までに電子交換所の手形・小切手の交換枚数をゼロにすることを目標とし、2027年度初からその交換を廃止することとしています。切替先には、でんさい等の電子記録債権やインターネットバンキングによる振込があります。

これは電子交換所での交換に関する日程です。

自社の銀行が、振出用紙の発行、入金受付、取立、割引をいつ終えるかは、個別の案内で確認します。

中小企業庁が2026年9月に公表した支払適正化の要請でも、多くの金融機関が2026年9月30日を最終振出期限に設定していると説明されています。全ての銀行に共通する期限と受け取らず、2026年秋の時点では、自社の通知をすぐに確認したい状況です。

受け取った手形が手元に残っている場合は、満期日、取立依頼の期限、取扱金融機関も調べます。「年度末までは従来どおり」とまとめて判断すると、銀行ごとの終了時期を見落としかねません。

紙を電子に替えるとき、支払期日も確認する

でんさいは電子記録債権の一つです。電子化すれば事務を減らせる面がありますが、取引先と合意する支払条件や法令の確認は残ります。

2026年1月1日以後の発注について、取適法の対象となる製造委託等では手形払が禁止されています。電子記録債権等についても、物品等の受領から起算して60日以内に定められる支払期日までに、代金の満額に相当する金銭を受け取れる条件かを確認します。公正取引委員会の取適法Q&A・Q80は、支払期日に金銭を得るため受取側が割引を受ける行為等を必要とする場合、支払側が割引料を負担しても支払遅延になると説明しています。支払期日と、電子記録債権の満期日を同じ欄にせず、両方を確認してください。

電材の取引全てに、同じ法適用を決め付けることはできません。

同じQ&AのQ17は、規格品・標準品の通常の購入と、仕様等を指定して製造を依頼する場合を分けています。実際には取引内容と当事者の規模等を確認します。自社が商社としてどこまで関与しているかも判断材料です。

加えて、2027年4月1日には独占禁止法上の「支払告示」が施行される予定です。取適法の対象外でも、製造委託等について確認が必要になるため、前記の中小企業庁の案内と個別取引を照合してください。2026年10月時点で既に施行されている制度としては扱いません。

旧手形と、新しい支払が重なる月を見る

ここからは資金繰りを確認するための整理案です。実在する会社の事例や、必要資金の標準額を示すものではありません。

以前に振り出した手形の満期支払がある月に、切替後の仕入代金の振込も始まる場面を考えてみてください。月間の仕入額が大きく変わらなくても、同じ月に出ていく現金が増える可能性があります。一方、得意先から受け取る側の切替えがまだなら、入金の前倒しは見込めません。

確認には、得意先と仕入先を分けた一覧を使います。

  • 現在の締日、支払日、手形等の満期日
  • 切替えの対象となる最初の請求・納品分
  • 新しい支払手段と、実際に入出金する日
  • 既に受け取った、または振り出した手形の残高
  • 割引や債権譲渡の利用状況、今後確認する手数料等
  • 先方と合意済みの条件、連絡待ちの条件

「翌月から変更」という案内が、翌月の納品分を指すのか、翌月の支払分を指すのかでも、資金の動く日は変わります。

営業担当が聞いた話と、経理が受け取った通知を突き合わせてください。

次に、従来条件のままの入出金予定と、確認できた新条件を反映した予定を比べます。まだ合意できていない入金の前倒しを、確定した収入として数えないことが大切です。給与、税金、借入返済、家賃なども加え、資金が最も少なくなる時点を探します。月末残高だけでは途中の支払集中が見えない場合は、日付を細かくして確認します。

承継する月を重ねると、もう一つの確認が要る

切替えの途中で会社を譲るなら、決済日の預金残高だけで、十分な運転資金があると判断しないようにします。翌週に旧手形の満期が来るのか。新しい振込が始まるのはいつか。承継の前後で必要な資金を、先ほどの予定表へ重ねます。

株式を引き継ぐのか、事業譲渡で資産・負債を引き継ぐのかによって、確認する対象を整理します。日本政策金融公庫の案内も、株式譲渡では株数・価格、事業譲渡では対象資産・負債の範囲・価格を、譲渡契約の主な項目として分けています。そのうえで、代表者、銀行への届出、操作・承認の権限などを確認します。でんさいネットの届出変更に関するQ&Aは、会社名、住所、代表者名等の変更時に届出を求めています。

事業譲渡では、対象とする売上債権・支払債務、利用契約、決済口座について、どの会社が何を引き継ぐかを個別に確認します。

売り手会社のでんさい利用や割引等の条件を、買い手が同じように使えるものとして計画を作らず、金融機関に必要な手続と審査の有無を確かめてください。

金融機関へ相談するときは、追加で必要になりそうな金額だけでなく、いつから、どの支払条件の変更で不足するかを示します。融資や利用枠が確定していない段階では、その資金を入金済みのように予定へ置かないようにします。

操作できる人と、支払を承認する人を引き継ぐ

電子化が終わっていても、操作を知る人が引退予定の家族一人だけなら、承継の準備は続きます。誰が請求や発生記録を入力し、誰が確認・承認し、不在時は誰が対応するかを決めておきましょう。

銀行やサービスの正式な利用者追加・変更の手続に沿って、必要な権限を設定します。

旧担当者のIDやパスワードをそのまま回す方法は避け、誤入力時の訂正、残高確認、決済結果の照合まで、後任が理解できるようにします。最初の決済では、相手先との条件と実際の入出金が一致したかも確認します。

メーカー口座や取引条件を含む全体の準備は、電材卸・電設資材商社の承継でも整理しています。電子化の担当者だけに任せず、営業、経理、社長が同じ入出金予定を見られる状態にしておきたいところです。

承継時期と支払条件の変更が重なりそうなら、無料相談でその時期をお知らせください。金融機関の案内と、主な得意先・仕入先の変更予定を手掛かりに、引継ぎ後も仕入と販売を続けるための確認順序を考えられます。まず確かめたいのは、次にお金が最も少なくなる日がいつか、という点です。

過去の売掛金の回収と請求の引継ぎは、電材卸の売掛金でも整理しています。

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執筆:松本電業株式会社(電設承継パートナーズ)

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