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公開: 最終更新: 消防設備工事・点検

消防点検の契約は、件数だけで評価しない|移動・報告書・再訪を含めた採算の見方

この記事にはモデルケースが含まれます

記事中のモデルケースは、理解を助けるための架空の例です。 当社の成約実績ではありません。

毎年の点検料が入る契約でも、その年額がそのまま次の経営者の利益になるわけではありません。現場にいた時間のほかに、日程調整、移動、報告書の作成、入館できなかった場所への再訪があります。

消防設備会社の承継では、契約件数に加え、一つの契約を一年間続ける仕事量を説明できるようにします。以下の場面と時間は説明用の仮想例で、実在企業の実績や標準作業時間ではありません。

現場で3時間でも、会社の仕事は3時間では終わらない

点検担当者2名が、現場で3時間作業したとします。この部分だけでも、人数を掛けた作業量は6人時です。2名の往復移動が各1時間、別の担当者による報告書作成が2時間なら、合計は10人時になります。

これは費用を考えるための単純な例です。実際には事前連絡、鍵の受領、準備、写真整理、確認・修正などもあり得ます。何人で何時間かかったかを、契約ごとに同じ範囲で集めることが大切です。管理用の人時の記録は、労働法上の労働時間を判定するものではありません。

まず一つの契約について、予定表と作業記録、請求書を並べます。現場担当者だけに聞かず、報告書を仕上げた事務担当や、日程を調整した社長の仕事も確認してください。記録がない時間は推測で実績にせず、次回から測る項目として残します。

消防署等への報告がある年も、契約の仕事量に含める

消防庁の制度案内では、機器点検・総合点検の期間と、点検結果を消防署等へ報告する期間は別に整理されています。

報告義務を負う建物の関係者と、点検会社が契約で受ける作成・提出の仕事も分けて確認します。消防庁「消防用設備等点検報告制度について」

したがって、今年の請求額と今年の作業時間だけで、いつも同じ利益が残るとは判断できません。消防署等への報告書の作成・提出を受ける契約なら、その業務が発生する年の負荷も記録します。点検ごとの顧客向け報告を受けている場合は、その仕事量も別に残します。逆に、通常にはない設備更新の立会いをした年だけで、毎年の点検契約を赤字と決めないようにします。

管理用の一覧では、年間の点検料、契約に含む作業、別途請求した仕事、実施年ごとの人時を分けます。複数年の記録が必要なら、報告のある年を含めて比較します。単純平均だけで終わらせず、どの年に人員が必要になるかも残しておくと、後任が予定を組めます。

再訪は、回数と理由を一緒に残す

同じ再訪でも、理由によって確認する相手が違います。入居者の不在、施設側の使用予定、自社の準備不足、点検後に追加された依頼を、すべて「追加作業」にまとめると、改善の方法を見失います。

契約上、再訪や追加報告が料金に含まれるのか、別途の協議が必要なのかも確認します。「今までは請求していない」という事実だけで、今後も無償だとも、次回から請求できるとも決められません。

本稿の整理案は、予定していた作業、実際の作業、差が出た理由を対応させる方法です。安全上必要な点検や確認を削るための記録ではありません。事前案内の時期や施設側の立会い予定を整えるなど、点検の質を保ったまま減らせる手戻りを探します。

不良箇所や改修提案の引継ぎは、点検報告書と未改修一覧の揃え方で別に整理しています。まだ受注していない改修工事の利益を、点検契約の確定利益へ加えないようにしてください。

人件費だけを引いた数字は、会社の最終利益ではない

契約料から、対応させた人件費と外注費を引けば、契約ごとの負担を比べる手掛かりになります。ただし車両、機器、事務所、管理業務の費用が残ります。社長や家族が無報酬で作業していても、その仕事を引き継ぐ費用は検討が必要です。

国土交通省の建築保全業務積算基準も、直接の人件費・物品費だけでなく、業務管理費や一般管理費等を区分しています。ただし官庁施設の積算基準であり、民間消防点検の料金相場や強制的な価格を示すものではありません。建築保全業務積算基準・令和5年版

自社では、どの費用を個別契約に含め、共通費をどの基準で分けたかを残します。外注費に含まれる作業を自社の人件費として重ねて引いていないかも確認します。採算の集計方法は会計担当者等と揃え、請求額、人時、費用を別々に見られる形にしておくと再計算できます。

引継ぎ後は、同じルートで回れるか

現在は隣接する建物を同日に回れていても、承継後に出発拠点や担当班が変われば移動時間は変わります。買い手の拠点が近いから必ず安くなる、とも限りません。入館時間の指定、設備に対応できる担当者、報告書の締切まで合わせて確かめます。

承継資料には、現状の記録と、体制変更後の試算を分けて載せてください。まだ実現していない巡回効率の改善を、過去の利益として説明しないためです。

消防設備会社の事業承継を考えるなら、まず負担が気になる契約を一つ選び、年間の仕事をたどってみましょう。相談窓口へ相談する際は、最初から建物名や入館情報を送らず、点検料、作業の種類、担当体制の概要をお伝えください。法令上の点検・報告の扱いは、対象設備と建物の条件をもとに所轄消防署等へ確認してください。

資料確認日:2026年10月21日。

参照した一次資料

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執筆:松本電業株式会社(電設承継パートナーズ)

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