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M&A手数料のレーマン方式|同じ5%でも、何に掛けるかで成功報酬が変わる

レーマン方式は、基準となる価額を5億円以下の部分5%、5億円超10億円以下の部分4%というように階層に分けて割合を掛け、合算して成功報酬を出す計算方法です。階層ごとの割合が同じでも、何を「基準となる価額」にするかで金額が変わります。株式の譲渡額が1億円で借入金が3億円残る会社なら、譲渡額が基準だと500万円、移動総資産額が基準だと2,000万円です。

下の早見表に、譲渡額と負債と最低手数料を入れてみてください。契約書(案)の数字が手元にあれば、そのまま当てはめられます。

譲渡額と負債を入れると、基準別の成功報酬が並ぶ

早見表はJavaScriptで動きます。使えない環境では、次の節以降の表と計算例で同じ計算を確かめられます。

料率表は一例です。報酬は成功報酬の税抜の額だけを出していて、着手金・月額報酬・中間金・消費税は入っていません。

国のガイドラインが挙げる基準は3つで、負債が多いほど手数料は高くなる

中小企業庁の「中小M&Aガイドライン(第3版)」は、仲介者・FAの成功報酬が、主に次の3つのどれかを「基準となる価額」にして計算されると整理しています(63〜64ページ)。

基準何を指すか負債が増えると
譲渡額譲り渡した金額そのもの変わらない
移動総資産額主に譲渡額に負債額を加えたもの高くなる
純資産額資産と負債の差額。簿価なら決算書から計算でき、小規模企業で使われることがある債務超過だと0円以下になるため、通常は別の基準を使う

ガイドラインは、移動総資産額について「同じ譲渡額であっても、負債(特に借入金)の金額が高い方が、手数料は高くなる」と書いています。決算書の借入金が大きい会社ほど、基準の違いが金額に響きます。借入の残高は、契約書(案)の基準を読むときに先に確かめておく数字です。

この3つを組み合わせたり修正したりする会社も、定額にする会社もある、とも書かれています。契約書の文言が上の名前と同じかどうかは、読んで確かめることになります。

同じ5%でも、掛ける金額が変わると4倍になる

株式の譲渡額が1億円、会社に残る借入金が3億円の会社を例にします(金額は仮定です)。

基準が「譲渡額」1億円 × 5% = 500万円
基準が「移動総資産額」(1億円+3億円)× 5% = 2,000万円
差1,500万円(4倍)

料率は同じ5%で、掛ける金額だけが違います。譲渡で手元に入るのは1億円ですから、2,000万円は手元に入る額の20%に当たります。

料率を見比べても、どちらが高いかは分からない。

ガイドライン自身の事例でも、基準だけで2,000万円変わる

ガイドラインの具体例(67ページの事例2)は、譲渡額5億円、負債5億円の株式譲渡を、基準が移動総資産額(10億円)の会社に頼んだ場合です。成功報酬は5億円×5%と5億円×4%の合計になります。

基準が「移動総資産額」10億円2,500万円 + 2,000万円 = 4,500万円
基準が「譲渡額」5億円(当社計算)5億円 × 5% = 2,500万円
差2,000万円

4,500万円は税抜です。ガイドラインは、消費税10%を加えた手数料総額を4,950万円としています(事例の中間金50万円は成功報酬の内金なので、総額は増えません)。同じ料率表のまま基準を譲渡額に替えた金額は、当社が同じ表で計算しました。

最低手数料は、小さな会社の手数料率を決める

もう一つ、小規模な会社の手取りを左右するのが最低手数料です。ガイドラインは、譲り渡し側が小さいと基準の価額が小さく、十分な成功報酬を確保できないため、最低手数料を設けている仲介者・FAは多い、と説明しています(65ページ)。

最低手数料が効き始める基準額は、5億円以下の部分が5%なので、最低手数料を5%で割れば出ます。

最低手数料基準となる価額がこれより小さいと、最低手数料が適用される
300万円6,000万円
500万円1億円
1,000万円2億円
2,000万円4億円
2,500万円5億円

最低手数料が300万円と2,000万円の会社に、同じ譲渡額で頼んだ場合の成功報酬は次のとおりです(基準は譲渡額)。実効は、成功報酬が譲渡額に占める割合です。

株式の譲渡額最低300万円の場合最低2,000万円の場合
5,000万円300万円(実効6.0%)2,000万円(実効40.0%)
1億円500万円(実効5.0%)2,000万円(実効20.0%)
3億円1,500万円(実効5.0%)2,000万円(実効6.7%)
5億円2,500万円(実効5.0%)2,500万円(実効5.0%)

ガイドラインの事例4も同じ構図です。譲渡額5,000万円で、最低手数料が1,000万円の会社に頼むと、レーマンの計算値は250万円でも成功報酬は1,000万円になり、譲渡額の20%に当たります(68ページ)。

譲渡額が数千万円の会社では、料率ではなく、最低手数料の額が支払いを決める。

最低手数料の額は、登録機関の中でも100万円未満から3,000万円まで開いている

ガイドラインには、登録M&A支援機関の最低手数料の分布図が載っています(出典は中小企業の経営資源集約化等に関する検討会の資料)。図の数字では、最も多いのが500万円(81件)、次が1,000万円(71件)、その次が200万円(52件)で、2,000万円は26件、2,500万円は12件、3,000万円は1件です。2,000万円以上を足すと39件で、図に出ている374件の約1割です(件数は図の棒の数値を当社が合計)。

一方、大手仲介の最低成功報酬は2,000万〜2,500万円が中心です(各社の公式サイトおよび中小企業庁のM&A支援機関登録制度で公表されている手数料体系による。2026年時点)。登録機関の数で見れば少数派でも、大手に頼めば最低手数料の額は変わります。基準が譲渡額で最低手数料が2,000万円の会社なら、譲渡額が4億円を下回る会社では、払う額は最低手数料で決まります。

国が、手数料の算定方式を報告させ始めた

M&A支援機関登録制度では、2026年9月24日時点で3,362件のFA・仲介業者が登録されています。この制度は、令和8年度の実績報告に「案件の手数料算定方式」と「支払手数料の水準(最低手数料との比較)」を加えました(2026年5月の公募要領改訂)。登録機関に、算定方式と最低手数料の水準を国へ報告させる仕組みです。

登録事業者は手数料体系を公式のデータベースで公表しています。比較は、そこから始められます。補助金の面でも差が出ます。事業承継・M&A補助金(専門家活用枠)の16次公募では、FA・仲介費用が補助対象になるのは登録業者への支払いだけで、登録の要件は交付決定時に確認されます。補助金の詳しい条件は補助金のページに整理しています。

当社は2026年10月14日時点で、この登録をしていません。当社への手数料は、補助金の対象になりません。

契約前に確かめることは5つある

ガイドラインは、仲介契約の前に、業務の範囲・内容と手数料に関する事項を書面で説明するよう仲介者・FAに求めています。手数料に関わる項目を、確かめる順に並べます。

料率を掛ける基準が何かを確かめる

譲渡額か、移動総資産額か、純資産額か。契約書(案)の文言と、上の3つの名前が合うかを読みます。移動総資産額なら、譲渡額に決算書の負債を足した額が基準になります。ガイドラインは「主に」譲渡額に負債額を加えたもの、と書くにとどまるので、負債に何を含めるかは、契約書の定義で確かめます。

移動総資産額が基準なら、借入が大きい会社ほど、同じ料率で報酬が高くなります。

最低手数料の額を確かめる

譲渡額が想定より低くなったときに、いくら払うのか。上の表のとおり、基準の価額が最低手数料を5%で割った額を下回るなら、払う額は最低手数料です。

相手方から受け取る額を確かめる

仲介は売り手と買い手の双方に関わります。双方からいくら受け取るのかが開示されていないと、報酬の原資がどこにあるのか分かりません。売り手の負担を無料にしている会社は、報酬を買い手側から受け取る前提になります。無料が悪いのではなく、買い手側の額が開示されているかどうかが確認点です。

報酬の原資が、売り手と買い手のどちらから、いくら出るのか。書面で説明を受けます。

テール条項の年数と範囲を確かめる

契約が終わったあとに成立したM&Aにも報酬が発生する条項です。ガイドラインは、期間を最長でも2年〜3年以内を目安とし、対象は仲介者が関与・接触して紹介した相手方に限るべきだとしています(104〜105ページ)。

ティーザーを見せただけの相手は、テール条項の対象にすべきでない。少なくとも社名を開示するネームクリアが行われた相手に限る、というのがガイドラインの考え方です。

専任の範囲と期間を確かめる

専任条項は、並行して他の業者へ頼むことを禁じる条項です。ガイドラインは、設けるとしても対象範囲を可能な限り限定すべきだとし、依頼者が意見を求めたい部分について、他の支援機関にセカンド・オピニオンを求めることを許容すべきだとしています。契約期間は、専任条項があるなら最長でも6か月〜1年以内が目安です(103〜104ページ)。契約書の案を第三者に見せてよいかも、ここで確かめます。見せる相手の選び方は、M&A契約書のセカンドオピニオンにまとめています。

当社の手数料は、全額を公開している

当社の手数料は、売り手・買い手の双方の金額、基準、最低成功報酬、テール条項の扱いを手数料のページにすべて載せています。基準は株式価額(負債を含めない)で、最低成功報酬は300万円です。早見表は、当社の見積に限らず、どの会社の契約書(案)にも当てはめられます。

M&A会社から手紙や電話が来ていて、契約を急かされている場合は、M&A会社から手紙や電話が来たときも読んでみてください。企業価値の目安は、匿名で診断できます。

参照した一次資料

よくあるご質問


レーマン方式とは、何をどう計算する方式ですか。
「基準となる価額」を階層に分け、各階層の部分にそれぞれの割合を掛けて合算し、成功報酬を出す方式です。中小M&Aガイドライン(第3版)は、5億円以下の部分5%、5億円超10億円以下の部分4%、10億円超50億円以下の部分3%、50億円超100億円以下の部分2%、100億円超の部分1%を一例として載せています。階層の金額と割合は仲介者ごとに違い、そもそもレーマン方式を使わず一律の割合や定額にする会社もあります。
手数料が安い会社を選べばよいのでしょうか。
料率だけでは決められません。ガイドラインは、成功報酬の基準も最低手数料の金額も会社ごとに違うため、複数の仲介者・FAを比べることが望ましいとし、重要なのは業務の内容と手数料が見合っているかと、依頼者が納得できるかだとしています。同じ譲渡額と負債で、各社の基準・料率・最低手数料を当てはめた総額を並べると比べられます。
最低手数料はいくらが普通ですか。
ガイドラインに載っている登録M&A支援機関の分布では、500万円(81件)と1,000万円(71件)が多く、2,000万円(26件)、2,500万円(12件)、3,000万円(1件)は少数です。一方、大手仲介は2,000万〜2,500万円が中心です(各社の公式サイトおよび中小企業庁のM&A支援機関登録制度で公表されている手数料体系による。2026年時点)。譲渡額が小さい会社ほど、最低手数料が実際に払う額を決めます。
テール条項は必ずありますか。範囲はどこまでが妥当ですか。
付いている契約は少なくありません。ガイドラインは、期間は最長でも2年〜3年以内を目安とし、対象は仲介者が関与・接触して紹介した相手方だけに限るべきだとしています。ロングリスト・ショートリストやノンネーム・シート(ティーザー)を見せただけの相手は対象にすべきでなく、少なくとも社名を開示するネームクリアが行われた相手に限る、という考え方です。

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執筆:松本電業株式会社(電設承継パートナーズ)

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