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公開: 最終更新: 電気工事

会社が変わると建退共はどうなる?承継前にそろえる共済手帳と掛金の記録

この記事にはモデルケースが含まれます

記事中のモデルケースは、理解を助けるための架空の例です。 当社の成約実績ではありません。

会社の承継を説明したあと、職人から「建退共の手帳はどうなるのか」と聞かれたとします。これは仮想の場面です。社長が雇用を続けてもらうつもりでも、本人には、これまで納められた掛金がつながるのかという別の心配があります。

建退共では、勤め先が変わるたびに必ず退職金を精算するわけではありません。承継前に確認したいのは、各人の加入制度、引継ぎ後の雇用先、共済手帳の所在、最後の就労分までの掛金処理です。「退職金は大丈夫」とまとめて説明する前に、この四つをそろえます。

会社を変わることと、制度を変わることを分ける

建退共は、建設業で働く人のための退職金共済です。制度運営機関は、別の建設業の事業所へ移っても、新しい事業主が加入していれば共済手帳を使って掛金納付を続けられると案内しています。退職金の請求は、建設業界で働かなくなる場合などの受給要件を確認して行います。建退共「従業員が退職したとき」

したがって、社長が交代する、働く会社が変わる、退職金制度を変える、という三つの変化を同じ扱いにしないことが大切です。

まずは現在の雇用主と承継後の雇用主を書き、建退共を継続する予定か、別の制度を検討しているかを確かめます。株式譲渡や事業譲渡という名前だけで、全員に同じ書類を配るのは避けます。

同じ会社でも、全員が同じ退職金制度とは限りません。会社の退職金規程、建退共、中退共、その他の制度を人ごとに確認します。建退共の話が分かったからといって、会社独自の退職金や勤続年数の扱いまで決まるわけではありません。従業員の雇用を考える順序と併せて、説明する項目を分けておきます。

手帳があるだけでは、最新の掛金が見えないことがある

事務担当者から共済手帳を受け取ったら、本人の番号と氏名を確認し、その手帳に記載された情報がいつの時点かを見ます。現在は証紙貼付に加え、電子ポイント方式による掛金納付があります。

建退共の案内では、手帳交付後の電子申請による納付日数は、手帳だけでは確認できません。最新の「掛金充当書」なども用いて、電子分と証紙分を照合する必要があります。手帳の見た目に空欄が多いことだけで、納付されていないと判断しないようにします。掛金納付状況の公式確認方法

承継用の管理表には、次のような欄があると担当者が変わっても確認を続けやすくなります。

これは独自の整理案で、制度の申請書を代替するものではありません。

  • 本人の被共済者番号と、現在の加入制度
  • 共済手帳を保管している人・場所
  • 最新の掛金充当書の発行日と、確認できた就労期間
  • 証紙分と電子分を照合した担当者
  • 未処理の現場、照会先、次に確認する日

個人ごとの記録なので、閲覧者は必要な担当者に絞ります。買い手へ検討資料を出す段階と、正式な手続に必要な本人情報を渡す段階も分けて考えます。

月末の引継ぎでは、報告済みと充当済みを確かめる

仮に10月末を事務の引継ぎ日とし、11月から担当者が変わるケースを考えます。10月の出勤記録はそろっていても、元請へ渡した就労実績が処理の途中かもしれません。前の担当者が「10月分は送った」と言い、次の担当者が「10月分は完了した」と受け取ると、確認する人がいなくなります。

この例では、現場ごとに「自社で確認した」「元請等へ報告した」「掛金充当書で確認した」を区別して引き継ぎます。

完了していないものについては、誰が相手先へ確認し、どの資料で完了を判定するかを残します。締め日を過ぎたという理由だけで、未処理欄を消してしまわないことが要点です。

本人が会社を退職する場合、公式案内は、退職日までの労働日数に応じた掛金を納めてから手帳を本人へ渡し、受払簿に記入するよう求めています。手帳は本人のものです。会社を売る際の備品一式と同じ感覚で、所在を分からなくしてはいけません。同じ雇用主のもとで働き続ける場合まで、一律に退職手続を行うという意味ではありません。退職時の手帳の取扱い

他制度への通算は、先に申請すれば安心とは限らない

買い手側の制度へそろえる案が出たら、建退共を続ける場合とは別の確認が必要です。他制度への移動通算には条件と手続があり、単に会社同士が「引き継ぐ」と約束するだけでは完了しません。どちらの制度からどちらへ移るのか、同じ事業所内の変更か再就職かを明らかにして、双方の制度窓口へ確認します。

特に注意したいのは、電子ポイント方式の未処理分です。建退共は、他制度への移動通算を申し出る前に、他制度への加入の前日までの全就労分について、掛金充当が終わったことを「掛金充当書」で確認するよう案内しています。申出後に就労報告された月の充当実績は、移動先へ通算できないとされています。他制度との間で掛金を引き継ぐ手続

先ほどの仮想例なら、担当交代に加えて11月から別制度へ移る場合、10月分の完了確認が一層重要になります。

元請への連絡担当が退職する前に、照会の相手と確認資料を次の担当へ渡しておく必要があります。書類提出の早さより、提出前に満たす条件がそろっているかを確かめます。

なお、建退共へ入るときの通算条件を、そのまま建退共から出る場合へ当てはめてはいけません。本人の退職理由、制度加入の時期、すでに退職金を請求しているかなどで確認事項が変わるため、この記事だけで通算できると判定しないでください。

職人には、自分の記録を確かめられる説明をする

本人への説明では、確認できた事実と未確認の事項を区別します。現在の制度名、継続か変更か、手帳を誰が持っているか、どの就労分まで確認できたか。未処理分があれば、問い合わせ担当と次の回答予定を伝えるようにします。将来の受取額を、資料なしに約束することは避けます。

後任の事務担当者にも、書類の場所に加えて、処理中の問い合わせを渡します。

社長同士の引継ぎが終わったあとに返事が来ることも考え、旧担当者が離れても会社で受け取れる連絡先と確認手順を準備します。これで初めて、手帳を保管している状態から、掛金の記録を継続して管理できる状態へ進めます。

承継に向けては、準備チェックリストと一緒に、対象者の制度、手帳、最終充当記録、未処理現場を整理してください。相談窓口へ話す際も、この四つがあると論点を分けやすくなります。制度上の取扱いは建退共支部や移動先制度、労働条件は社会保険労務士などへ確認し、本人が長く働いた記録を次の担当へつないでいきます。

※2026年10月19日確認。建退共の加入・受給・通算要件を網羅した解説ではありません。個別の手続は現行の制度案内と窓口で確認してください。

参照した一次資料

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執筆:松本電業株式会社(電設承継パートナーズ)

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