仕事の話は、治療のあとで構いません。
体調を崩してから、会社の先を考え始める方は少なくありません。まずお伝えしたいのは、治療がいちばん先だということです。会社のための準備は、その多くを人に任せられます。任せ方を、このページにまとめました。
まず、治療を優先してください
体調を崩されたうえで、このページを開いておられる。 それだけで、どれほど会社のことを背負ってこられたかが分かります。 従業員のこと、取引先のこと、ご家族のこと。 考えることが多すぎて、肝心の治療に気持ちが向かない。 そうなるのは、自然なことです。
先に、このページで一番大事なことを書きます。 会社のための準備は、その多くを人に任せられます。 治療は、ご本人にしか担えません。 ですから、力の配分は治療が先で構いません。 会社の側は、任せ方さえ決まれば動きます。
「早く始める」と「急いで決める」は、別のことです
そのうえで、ひとつだけ事実をお伝えします。 会社を誰かに引き継ぐには、相手を探す期間、条件を話し合う期間、 許認可(行政の許可や登録)を整える期間が要ります。 どれも、縮めるのに限度があります。
だから、時間に限りがあると感じるときほど、始めるのは早いほうがいい。 ただしそれは、早く決めるという意味ではありません。 売るかどうかの判断は、最後まで留保できます。 先に始めておくと変わるのは、決めるときに選べるものの数です。 体力のある時期に始めるほど、面談の日程も条件の話し合いも、 こちらの都合に合わせて組めます。
準備だけ先に進めて、判断は体調と相談しながら最後に。その順番で進められます。 途中でやめることも、いつでもできます。
体調が万全でなくても、進め方は変えられます
通院や入院と並行して進める場合、標準のやり方に合わせていただく必要はありません。 私たちの側を、体調に合わせて変えます。
- 面談の場所 —— ご自宅の近く、通院先の近く、オンライン(画面越しの面談)。 事務所までお越しいただく必要はありません
- 面談の回数と長さ —— 対面は最小限にします。確認したいことは事前に書面でお渡しし、 一度の面談で消耗しない組み立てにします
- 書類の準備 —— 決算書や許可関係の書類は、コピーをお預かりして私たちの側で整理します。 書き物も代行し、ご確認だけいただきます
- ご家族の同席 —— 歓迎します。むしろ初回からご一緒いただくことをお勧めしています。 このあとに出てくる相続の話は、ご家族と一緒に聞いていただくほうが早いからです
- 中断と再開 —— 体調の波に合わせて、いつでも止めて、いつでも再開できます。 中断しても、それまでの費用を請求することはありません
もしものとき、会社に何が起きるか
考えたくない話です。 ですが、ここを知っているかどうかで、ご家族と会社に残る負担が大きく変わります。 事実だけを短く並べます。
| 起きること | いまから打てる手 |
|---|---|
| 株式は相続財産になります。遺言がなければ相続人の共有となり、 誰が経営するかが決まるまで、会社の重要な決定が止まることがあります | 遺言で株式の行き先を定めておく。または、動けるうちに譲渡を終えておく |
| 建設業許可は「経営業務の管理責任者」(経営経験のある役員)が欠けると 維持できません。社長おひとりが要件を満たしている会社では、ここが止まります | 要件を満たす役員を先につくる。制度の中身は 社長が引退すると建設業許可が消える会社がある に書きました |
| 電気工事業の登録は、主任電気工事士が社長ご本人の場合、 同じように要件を欠きます | 社内の有資格者への選任替えを検討しておく |
| 借入の個人保証(社長個人が会社の借金を保証する契約)は、 相続の対象になります | 保証の一覧を作り、譲渡の際に解除を契約で担保する |
相続人が建設業許可を引き継ぐための認可の制度はあります。 ただし申請の期限は短く、要件を満たす人がいることが前提です。 もしもが来てから調べ始めるには、期限の短い手続きです。
制度の記載は一般的な説明です。個別の手続きは状況により異なるため、 実際に進める際は行政書士・司法書士等の専門家と一緒に確認します。
ご家族には、「共有」だけしておいてください
判断は、まだ要りません。 ただ、次のものがどこにあるかだけ、ご家族と共有しておいてください。
- 株主名簿と、株の持ち分
- 建設業許可・電気工事業登録など、許認可関係の書類
- 借入の一覧と、個人保証の有無
- 顧問税理士と、取引金融機関の担当者の連絡先
- 会社の先について、相談している相手がいること
確認する項目はチェックリストにまとめてあります。 登録は不要で、印刷してそのままお使いいただけます。 ご本人が書けない日は、ご家族が代わりに埋めても構いません。
進め方は、体調に合わせて組み直せます
相談から成約までの標準の流れは進め方のページにまとめてあります。 ただ、この流れは順番も密度も組み直せます。 たとえば、相手探しを先に静かに進めておき、面談が集中する時期を 体調の良い時期に寄せる、といった調整です。 全体の流れを読み物で追いたい方は、 相談から成約までを順に追ったガイドもあります。
費用の心配は、分けて考えてください。 売り手の方から、相談料・着手金・中間金・月額報酬はいただきません。 成約した場合の成功報酬のみで、詳細は手数料のページに全部書いてあります。 治療にお金がかかる時期に、会社の相談で費用が重なることはありません。
まず、現状を一枚にまとめるところから
私たちは1950年から電設資材を扱ってきた商社です。 資材を納める側から、この業界の会社の多くが社長おひとりの肩で 回っている様子を見てきました。 このページは、その肩の荷を少しでも分けるために書いています。
売却をお決めでない段階で結構です。 まず、株・許可・保証・連絡先という会社の現状を、 一枚にまとめるところから始めましょう。 ご連絡は、ご本人でなくても、ご家族からでも結構です。 どうか、お大事になさってください。